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「放射能から子ども達を守るために ~暮らしの中の放射能汚染を知る~」

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 細胞分裂がものすごく活発な小さな子どもほど、影響を受けやすい放射性物質。「ただちに影響はない」「安全な基準を設けている」と国は言いますが、放射能に安全ってあるのでしょうか? 4月から新規制値が設けられ厳しくなったと言いますが、では今までの規制値はどうだったのか? 世界の基準と比較してもまだゆるいとの指摘があります。
 2003年より、原爆症認定集団訴訟で証言を行い、これまで知らされてこなかった「内部被曝」を国に認めさせた、琉球大学名誉教授の矢ケ崎克馬氏を講師に学習会を開催しました。被災地のがれき処理の積極的な受け入れが報じられる大阪ですが、がれきの広域処理の問題点についても重点的にお話いただきました。

○ 内部被曝による体への影響とは?
 たくさんの種類がある放射線の中で最も問題なのは電離放射線。 すべての物質は原子から構成され、原子どうしが結合し分子となっている。 その結合力となっている電子に放射線があたって電子を弾き飛ばし、分子を切断してしまう。 そのことにより生体機能分子が切断され生命機能がうまく働かなくなり急性症状(脱毛・下痢・出血など)が出る。 また、切断された分子が修復作業の際に間違ったつなぎ直しが行われ、遺伝子が組みかえられる変成がくり返されると、ガンにつながり(晩発性の危険)、DNAの不安定さを子孫に影響を与えてしまいます。
 空気や食べ物から体内に入った放射性微粒子は、体内のあらゆるところに運ばれ蓄積します。 よく知られる晩発性疾患のガンだけでなく、免疫力を低下させ様々な体調不良や病気の発生につながったり、それまでの持病の悪化にもつながります。 (例:身近なもので花粉症がひどくなるetc.)

○ なぜこれまで「内部被曝」は過小評価されてきたのか?
放射線のリスク評価の「国際的権威」とされている組織に、国際放射線防護委員会(ICRP)があります。 専門家の立場から放射線防護に関する勧告を行う民間の国際学術組織とされますが、戦争中に原爆を製造・投下したアメリカがリードし、核軍拡・原子力発電推進派の主張する「放射線のリスク受け入れ」を理論化しています。 アメリカの解禁文書によれば、アメリカは 「核兵器は通常兵器と同じ。放射線で長期にわたり命を脅かすことはない」 という虚構を描くために内部被曝を隠ぺい (原爆投下後の台風を利用し、被爆地には放射性の埃はないとし、内部被曝は生じようがないものとした)する核戦略が強行されました。 現在もこの内部被曝の危険性を隠し続けたICRPの考え方が、ほとんど世界の全ての医療機関・教育機関・原子力機関の考え方となっています。

○ がれきの広域処理について
・ 放射能に汚染された物は 「拡散してはならない、燃やしてはならない。」 というのが原則! がれきに放射性物質がついているままでは直接的に二次被害は及ぼしませんが、焼却処理をすると、放射性微粒子が空気中に広がったり、残灰が再利用されて生活の場を被曝します。
・ 政府は汚染されていない宮城・岩手のがれきだけが対象と言いますが、そこも高度汚染地域の中です。(文化省汚染マップを見ればわかる)
放射能汚染物の処理基準はこれまで100ベクレル/キログラムでしたが、8000ベクレル/キログラムにつり上げ、それ以下の汚染は 「汚染されていないとみなす」 と言っているだけです。

○ 「福島の米をたべよう!」は本当に支援になるの?!
 汚染された土地での生産物(太平洋側での海産物も)は 「検査せずに売るな、食べるな」を原則とすべき。 汚染されていない土地で、休耕田を利用して、食料大増産を行い日本の市民の食の安全を保障することが大切とのこと。 避難者の支援や、保養の機会や場所を提供するなど、非汚染地でなければ実施できないことを行えればとの提案でした。

○ 海外の基準値との比較
・ 住民の保護基準
チェルノブイリ周辺国(ロシア・ベラルーシ・ウクライナ)
 移住権利(住んでもよいが移住しようと思えば国が補償):1ミリシーベルト
 移住義務(危険だから移住しなければならない):5ミリシーベルト
日本
 計画的避難地域:20ミリシーベルト/避難区域:50ミリシーベルト

・ 食べ物について 特に主食の限度値は減少させるべき!
(主食のパン)ウクライナ:20ベクレル/キログラム
         ドイツ:8ベクレル/キログラム (子どもに対して4ベクレル/キログラム)
日本の一般食品についての2012年4月からの新基準値 100ベクレル/キログラム
                (事故後からこれまでの基準値 500ベクレル/キログラム)

○ 日々の生活で気をつけたいこと 自分の健康は自分で守る!
・ 放射能汚染のない食品を選びましょう (検査済みの数値が記載されているものは少ないので、産地を確認して購入する) 「食べて支援しよう」はやめよう。 政府に対しては「汚染ゼロ」の食品を要求しよう。
・ 野菜はよく洗う・ゆでる/魚はエラと内臓を取る
・ 免疫力を高める食事を含めた生活を!
食事は楽しく、何でも食べ免疫力を高める体づくりを!

☆ 参加者の感想 ☆
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○ 思っていた以上に矢ヶ崎先生が素敵でした。わかりやすいし、正しい事を静かに強く訴えられていて、日本にこんなにすごい先生がいたなんて、とても うれしく心強くなりました。 

○ あらためて、3.11の事故の重さを感じました。 生活していくうえで深く考えていかなければというふうに思いました。 (5才児・小4児のお母さん)

○ 本日は貴重な機会をありがとうございました。まさか大阪で矢ヶ崎先生のお話をきけると思いませんでした。 アットホームな雰囲気の講演会で、西区からですが出てきて良かったと思います。

○ 今日の矢々崎先生のお話を聞いて、「政府は重大な情報ほど隠そうとしていて国民の良心を利用している。」 という言葉にハッとなりました。
 3.11があってから私達の健康に関してなど様々な情報が飛び交い、何が正しいのか日本全体がわからなくなっている状態で、今回のように専門家の先生がお話をしてくださったことで不安が取り除かれ、またメディアに振り回されないように自分で正しい知識を見つけようと考えるきっかけになりました。

 内部被爆については食と深い関係があるため、より正確な知識を身につけていきたいです。 まずは大学に栄養の専門家である先生方がたくさん居るので時間を見つけてお話を聞いてみようと思います!

 このお話を自分だけに留めるのではなく、友達や家族に伝えていくことで少しでも何か感じて欲しいと強く思いました。 今日のお話は大人向けでしたが、きっと将来今の日本全体の対応のつけが回ってきて責任を問われ、色々な意味で被害者となるのは子ども達世代かと思います。

今、私の年齢や立場からしてできるのは内部被爆と食に関してすぐ次の世代である子ども達に伝えていくことかなと考えました。
講演を聞いて感じたことを、ボランティアを通じて少しでも多くの子達に伝えていくことができたらなと思います。 (大学生 むっく)

○ 不安に思うだけでなく、前向きに頑張れる気持ちになれるお話でした。できることからはじめようと思います。

○ とっても勉強になりました。内部被曝について、軽く考えていたのでもっと気をつけようと思いました。参加してよかったです。 (0才児・4才児のお母さん)
by kodomo-a | 2012-04-18 12:18 | 3.11から学ぶこと
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